犬と暮らす高齢者は、長年、何頭もの犬と暮らしてきたという方が多くいます。

そういう方は、高齢になったとき、自分の老い先やライフスタイルも考えて、子犬ではなく成犬を迎え入れようと考える方がほとんどです。

しかし、高齢者が保護犬の里親になりたいと思って動物愛護センターや動物愛護団体の譲渡会に行っても、施設の側で「60歳ないし65歳以上の高齢者には譲渡しない」というルールを設定し、譲渡を断るケースが多く見られます。

それは、高齢者に万が一のことがあった場合、再び行き場のない犬になってしまうことを防ぐための予防的ルールではありますが、これまで何頭もの犬と生活を共にしてきた高齢者からすると、さみしさやむなしさが募る現実です。

そして、「犬のいない生活」に耐えられなくなり、誰でも犬を迎え入れることができる「ペットショップ」で生後2~3ヶ月の子犬を迎え入れる高齢者が後を絶ちません。

ペットショップで子犬を購入したが…

写真の毛だらけの子は、9歳のトイ・プードル あゆむです。

リードではなく針金のようなもので柱につながれておりました

里親になれなかった70代の高齢夫婦が、ホームセンターのペットコーナーで購入し、面倒を見ていましたが、5年後に奥さんに先立たれ、残された旦那さんと暮らしていましたが、病気で体が思うように動かなくなりました。

かなり状態が悪化し、施設入所するしかないということになって、ケアしていた方がテレビで観たDOG DUCAに連絡して保護となりました。

飼い主が体を悪くしてからの10ヶ月くらい、玄関先につながれたまま、フードも皿に山ほどもっておいてセルフで食べるといような状況で生活することを余儀なくされました。

もちろん、散歩に連れて行かれることもありません。

保護後すぐ、近くの公園で散歩させたら喜び歩きまわっておりました

いつでも食べられるフードと運動不足により、標準体重が3~4kgであるトイプードルなのに、体重が14kgもありました。

中型犬用のキャリーに入った状態。胴体は丸太のような太さでした

飼い主は散歩にも行けないくらいなので、病院に連れて行くことはおろか、トリミングに連れて行くこともできません。

結果、毛は伸び放題、大量の毛玉とフケだらけになっていました。もちろん、ニオイもかなりついておりました。

ノミやダニはいませんでしたが、フケだらけでした

幸い、大きな病気はなく、まだ元気なので、DOG DUCAで社会化トレーニングとダイエットをして2ヶ月後のクリスマスには、若い里親さんが見つかり、譲渡することができました。

9kgまで落ちましたが、継続的なダイエットが必要だったので、運動させてくれる里親さんにお願いしました

反対を押し切って購入も…

こちらもトイ・プードルのぷーで、この子は保護時5歳でした。

70代の高齢者のひとり暮らしで、さみしくて犬を購入しようとしたところ、友人は年齢的なこともあってそれに反対したものの聞き入れず買ってきてしまいました。

4年ほど暮らしたところで、飼い主が末期ガンの宣告を受け、年内までは生きられないということで、その友人からDOG DUCAに連絡があり、8月に保護しました。

高齢の飼い主にありがちですが、ワクチンや狂犬病予防接種は購入時したときにしてあった以来、病院にも連れて行っていなかったとのこと。

トリミングは毎月連れて行っていたのでキレイでしたが、飼い主が甘やかしたせいでかなりワガママに育っており、気に入らないことがあるとすぐ咬みつくようになっていました。

幸いまだ若かったので、DOG DUCAでは、ドッグトレーナーによるトレーニングを行い、譲渡することができました。

飼い主からすると「こんなはずじゃなかった」という想いでしょうが、ひとり暮らしの高齢者に万が一のことがあったときに引き取ってもらえる親族なりがいない、ということも少なくないのです。

衝動買いした結果…

この子も、ペットショップで購入されたチワワの保護犬ソレイル7歳です。

80代の高齢夫婦が夫婦ゲンカして、怒った旦那さんが外出した先で見つけたペットショップでソレイルを衝動買い(夫婦ゲンカの要因も犬を飼う飼わないのことだったようです)。

奥さんが面倒を見ていたようですが、旦那さんの認知症が進行し、ソレイルを杖で叩くなど虐待をするようになり、奥さんもそれを止めることができなくなったため、このままではかわいそうということで奥さんの依頼でDOG DUCAが保護しました。

長年犬と暮らしていたようで、大切にされており、狂犬病・ワクチン・トリミングはすべて必ずされておりましたが、虐待の影響か人に怖がるようになっておりました。

アニマルセラピーの観点から、動物と暮らすことは認知症予防になるとも言われますが、すべての認知症を防げるとは限りませんし、認知症になることで、感情をコントロールできなくなったり、大切な家族の記憶をなくしてしまったりすることで、虐待をするケースがあるのが現実です。

高齢者が子犬を飼う現実

高齢者が子犬を飼うのは、誰がどう考えてもベストな選択ではありません。

子犬は運動や社会化トレーニングを必要としますし、今では20歳くらいまで生きる子もいます。

かたや高齢者は、たとえ今は元気でも、いつ何時なにが起こるかわかりません。

子ども夫婦と同居しているなど、自分の身に何かあっても愛犬を託せる相手がいれば問題ありませんが、ひとり暮らしの高齢者で身寄りがない、という場合、残された犬の「先のこと」も考えておかなければなりません。

しかし残念ながら、そういう、身寄りがない高齢者ほど、犬と暮らしたいという想いが強くなります。

長年犬と暮らしてきた飼い主からすると、犬のいない生活に耐えられない、さみしい、特にひとり暮らしであればなおさらその気持ちが強く出るのでしょう。

そして、残念ながら、高齢者が犬を迎え入れられる場所がペットショップしかない、という現実もあります。

その結果、数年後、飼い主の方に先に限界が来て、愛犬が「保護犬」になってしまうこともあるのです。

これは高齢者一人だけの問題ではなく、社会全体で考えていかなければいけない問題です。

DOG DUCAでは、高齢者でも里親になれる、“シニアドッグ・サポーター制度”を作り、高齢者と暮らしていた犬と、里親になりたくても慣れない高齢者をマッチングさせています。

どんな相手にも譲渡するわけではありませんが、このような取り組みが日本全国に広まってくれることを望んでいます。