これは高齢者に限ったことではないですが、「保護犬を迎え入れよう」と考える里親希望者が増えた現在でも、やはり人気は子犬に集中します

とくに、5歳を超えてしまうと里親希望者はガクッと減ります

しかし高齢者と暮らしていた犬は、はじめは子犬でも、一緒に歳を重ねていきますので、高齢者と同様に“高齢犬”となっていることが多いのが現実です。

その上、高齢犬は人間の高齢者と同様、なにかしらの病気になりやすい反面、人間の高齢者のように手厚い保険制度があるわけではなく、ペット保険に入ってない場合、医療費は全額負担(それも高額)になることもザラです。

そのため、高齢者が愛犬を継続飼養できなくなって、愛犬を誰かに託したいと思っても、思うように引き取り手が見つからない、ということがよくあります。

愛護センターや愛護団体に断られる

この子はトイ・プードルのチェルシー11歳です。

兵庫県からはるばる名古屋にあるDOG DUCAにやってきました。

母一人娘一人の母子家庭の娘さんが結婚することになって家を出て行き、残された母親が面倒を見ていましたがガンの闘病が始まり、通院と入退院をする必要が出てきたため、手放す決意をされました。

しかし、11歳という高齢犬になるチェルシーは、ただでさえ引き取り手がなく、管轄の動物愛護センターに問い合わせれば「殺処分します」と言われ、近郊の保護団体を何件も頼るも、高齢であること、咬みつきグセがあるということでどこも引き取りを断られたそうです。

2010年代から、「殺処分ゼロ」の意識の浸透や動物愛護法の改正により、動物愛護センターが引き取りを拒否できるようになり、こういったケースがよく見られるようになりました。

愛護団体も増えてはいますが、基本的に活動はボランティア。

トレーニングが必要な咬みつきグセのある犬や、治療費のかかる高齢の保護犬など、保護期間が長くなるのは経済的にも負担とあって、すぐに譲渡することが難しい犬を迎え入れる団体はかなり少ないのが現実です

また、「殺処分ゼロ」を目標に活動している団体など、愛護センターからしか保護しないこともあります。

そのためチェルシーは、プロドッグトレーナーが保護活動をする名古屋のDOG DUCAしか「引き取ってもいい」と言ってくれるところはなかったそうです。

しかし、ひどくワガママに育ったため、飼い主がキャリーケースに入れることもままならず、近くのドッグトレーナーに来てもらってキャリーに入れてもらい、その足ではるばる兵庫から新幹線に乗せてDOG DUCAに連れて来られました。

高齢者と暮らしてきた犬は、人慣れしているものの、密接になりすぎたり、かわいさのあまりなんでも望むものをあげてしまっていたりすることで、主従関係が逆転してしまうケースが少なくありません。

そのため、機嫌がよければなでさせてくれますが、気に入らないことがあるのとすぐ吠えたり咬みついたりするようになる子もいます。そのため、譲渡しにくい犬として、引き取り手が見つかりにくいのです。

正しい接し方をすることが大切です

どんな理由でも引き取ってもらえない

ミニデュアダックスのもも(12歳)は、生活保護を受けていた高齢の飼い主と暮らしていました。

しかし、飼い主の認知症が進んで施設へ入所することになり、ケア施設の職員が、ももの引き取り先を探すことに。

以前は病院もトリミングもされてかわいがられていたようですが、認知症が進むことで虐待をするようになってしまったようです。

(認知症になって愛犬に虐待するケースは他にもありました)

ケア施設の職員の方は、そんな もも をなんとかしたいと、引き取り先を探しました。

しかし、年齢的にも引き取り手は見つからず、保健センター(保健所)や動物愛護センターにも相談したものの、虐待があったと思われるにもかかわらず、「連れてきたら殺処分になる」と言われて、それでは連れていくことができないということで、DOG DUCAに連絡があり、保護しました。

引き取らない愛護センター

昔のように、狂犬病予防のため「連れて行かれればほぼ殺処分」だった時代とは異なり、今は動物愛護センターが引き取りを拒否し、また、殺処分をしない愛護センターも増えました(名古屋市は殺処分機すら撤去)。

1974年には全国で約116万頭もの犬が殺処分されていたが、2022年には、2,434頭まで減少し、いまだ「殺処分ゼロ」にはなっていないものの、以前と比べると多くの生命が救われる社会になってきました。

引き取り頭数が大幅に下がった上、殺処分される割合も大きく下がっている。

昔のように、「動物愛護センター=殺処分」ではなくなってきたとはいえ、しかしそれでも、捨てる飼い主を減らすため、引き取りを断る名目として「殺処分する」と告げる保健センターや愛護センターがあるのが現実です。

「殺処分する」という言葉は、飼い主のむやみやたらな飼育放棄を防ぐための一種の抑止力にはなるかもしれません。

しかし、すべての愛護センターがそうとは限りませんが、明らかに保護すべき犬なのに、飼い主ではない、高齢者支援をしている方に対してすら、「引き取ると殺処分する」と脅すような言い方になったり、「チラシを作って探して」くらいのアドバイスしかしないセンターがあるのも現実です。

これは、引き取った後の譲渡するしくみが充分できていない所があるからだと思いますが、でも、こういうことが日本各地で起きているのです。

本当に動物たちのことを第一に考える「真の動物愛護」精神があれば、こんなことは起こらないはずですが、残念ながら今の日本では、そうじゃない現実があるのです。