動物たちは物を言いません。
ですから、彼らの健康状態や心理状態を人間がわかってあげる必要があり、さらに適切な対応もしなければいけません。それが、生命(いのち)を迎え入れるということです。
ただ現実問題、特に高齢者と暮らしていた犬たちは、高齢者の体調が悪くなるのに合わせて、健康管理などがおざなりになっていってしまいます。
飼い主自身が身の回りのことすらできないのですから、当然の話といえば当然です。
高齢者は、犬を飼い始めたときは元気でも、いつ何時どのような病気になるかわかりません。
その結果、犬の面倒を見られなくなった結果、本来であれば起こらなかった不幸も、犬たちの身に降りかかることになります。
病院に連れて行かない飼い主
アメリカン・コッカースパニエルのレーベンは、ひとり暮らしの高齢女性と暮らしていました。

保護したのは13歳、完全な高齢犬です。
しかしそれ以上に深刻だったのが、口元にそれとハッキリわかる大きな腫瘍があったことです。

レーベンを連れてきたのは、出張トリマーの方でした。
80代の飼い主の足が悪いこともあって、出張トリマーさんに来てもらっていたようで、動物病院に連れて行くことはなかったようです。
見かねたトリマーさんがレーベンを動物病院に連れて行ったところ、悪性黒色腫(メラノーマ)で、もう手の施しようがない状態になっていることがわかりました。
引き取るにしても、他にも面倒を見ている子がいるため出来ず、里親を探すものの、高齢と病気があっては引き取り手がないのが現実だったため、DOG DUCAが保護することにしました。
腫瘍は放置された期間が長く、かなり大きくなっており、病院で余命半年との宣告を受けました。
しかし、口元であるため食事もままならず、ヨダレも出っぱなしな状態なので、QOL確保のために腫瘍を除去し、ご飯もスムーズに食べられるようになりました。
当然、譲渡などはできないため、DOG DUCAで終生飼養となり、今まで出来なかった分、人にたくさん愛され、たくさん遊び、たくさんの愛情を受けながら生活しました。


しかし体はガリガリのまま、腫瘍が転移し、保護して半年で虹の橋を渡りました。
もっと早く来ていれば、もっと早く手術していれば、もう少し長く幸せな時間を過ごせたでしょうが……それでも最期まで皆に愛されながら息を引き取ったことはせめてもの救いです。
散歩に出たこともないゆえに…
ドーベルマンのヒカルは、70代の高齢夫婦のガレージで飼われていましたが、ゴミ出しのスキに脱走してしまい、駆けつけた警察官など4名を咬むという咬傷事故を起こしました。

聞けば山あいのブリーダーから子犬の時に引き取ったものの、ほどなくして飼い主の足が悪くなり一度も路上に連れ出したこともなく、勢いで外に飛びだしたものの、見たこともない市街地の世界にパニックになったようです。
その当時は名古屋でも犬の殺処分が行われておりましたので、捕獲されたヒカルも殺処分になる可能性がありましたが、DOG DUCAが保護してトレーニングを行い、その様子がメディアで流されることで、世間的にも「殺処分ゼロ」の機運が高まり、名古屋での犬の殺処分ゼロが実現しました。
そこから3年連続で殺処分ゼロが続き、ついに殺処分機も撤去されました。

ヒカルはトレーナーの指示には完璧に従うことが出来る優秀さを見せましたが、臆病な部分は抜けず、DOG DUCAで終生飼養となり、2023年に虹の橋を渡りました。


「こんなはずじゃなかった」は通じない
犬たちは生命ある存在です。
人間と同じように、病気にもなるし、歳を取れば介護も必要です。
今はよくても、あとあとのことを考えて迎え入れ、何かあった時の体制を整えておかないと、結果的にみんなが不幸になります。
しかし、保護して来た子たちを見る限り、そういうことを考えられているような子はここには来ません。
愛犬を生涯面倒をみるための準備があれば「保護犬」にはならないのです。
適切なタイミングで、適切な対応をしなければ、これらの子たちも、もっと幸せを感じながら暮らす時間を長く出来たハズです。
飼い主の準備が、心づもりが、犬たちを幸福にも不幸にするのです。
