わんちゃんが自分にとっては大切な「家族」だとしても、自分の子どもたちにとっては必ずしもそうではない、ということも少なくありません。

とくに、普段から疎遠で、愛犬と接することもない子どもの場合、仕方なく引き取りはしても、犬が子ども夫婦になつかないばかりか吠えたりすることもあるため、残念なことに、その後に愛情を持って接してくれないことも。

また、子どもは愛犬を引き取る気があっても、配偶者が反対する、アレルギーがある、マンションのルールで飼えない、先住犬と相性がよくないなど、様々な要因でスムーズに面倒をみてもらえないケースもあります。

子どもにとっては“お荷物”でしかない

実の子どもであっても、親が大切にしてきた愛犬を引き取ることを迷惑に感じる人もいます。

写真のミニチュア・ピンシャーのエイト(10歳)は、そんな典型でした。

高齢の親が入院することになり、息子夫婦が一緒に暮らしていたエイトを引き取ったものの、ペットが不可の物件だからという理由で、動物病院のペットホテルに預けたまま、引き取り手を探し、何件かの保護施設を頼ったようです。

DOG DUCAにも相談があったので、「去勢避妊手術やワクチン接種、高齢犬なので歯の治療などの費用を出していただけますか」と伝えたところ、数週間連絡がありませんでした。

しかし、どの保護団体でも断られたあげく、里親サイトで募集をかけたようですが、一緒にいられる時間が短く10歳を過ぎた高齢犬を引き取る人はまずいません。

最終的にDOG DUCAに連れてこられました。

見れば大きな高級車に乗っているので、ペット不可物件というのも本当かどうか怪しいところでしたが、何より夫婦からはエイトへの愛情を感じることができませんでした。

エイトの右目がかなり白濁していたので、見えているかチェックしてみたところどうも失明している様子。

そのことを夫婦に告げても、「そういえば動物病院でも言われました」と、後出しで言ってきました。

本当に「飼いたいけど飼えない、親の飼っていた犬だから大事にしたい」と思うのであれば、託す相手にそういう大事なことを伝えないのはありえません。

たぶん、高齢とか目のことで他の団体で断られたので、引き取ってもらえないと困るため、不都合な情報は伝えないようにしていたのでしょう。保護の現場ではよくあることです。

最初は「持病はない」という話でしたが、実際には腎臓に炎症もありました。

このような家族のもとで暮らすエイトの方が不幸なのでDUCAで保護しましたが、飼育放棄する人に去勢避妊手術や健康診断などの費用3万円をお願いしたところ「毎月1万ずつ振り込みます」と言って帰ったきり音信不通です。

「親の介護もあるのに、犬の費用なんて払えない」

そんな感じでしたので、驚くこともありませんでしたが、もちろん、エイトのことを気にかけて訪れたり電話してきたりもありませんでした。

無関心がゆえに…

トイ・プードルのそらは高齢者の夫婦と暮らしていましたが、二人とも施設入所が決まり、息子夫婦に引き取られました。

しかし、存命の親から引き継いだのに年齢も不明なばかりか、毛が伸び放題な状態なのに、「半年近く前にトリミングしたばかり」というような始末。どうもサークルの中に閉じ込めて生活させていたようで、愛情をまったく感じませんでした。

保護後、伸び放題の毛を刈ったところ、右目がつぶれていることが判明。

動物病院での診断結果は、何らかの目の病気になったときに治療をしてもらえず、かき続けて眼球についた傷を放置した結果、目ヤニや雑菌などの影響で眼球が収縮してしまったということで、眼球摘出手術を行うことになりました。

片目を完全に失ったそらでしたが、DOG DUCAでは他の保護犬と仲良く暮らし、その後、愛情深い里親さんとのよい出逢いがあり、卒業していきました。

同じく保護犬のミニピンのマーラ&ライナと

普段からなれさせておかないと…

犬は慣れてない人には警戒する生き物なので、ふだんから親子関係がよくないと、犬と接する機会もないので、いざ引き取ってもなつかないばかりか、“問題行動ばかり起こす厄介者”になることも少なくありません。

6歳のチワワ、リンダもそのような理由で保護しました。

飼い主である高齢夫婦のうち、奥さんが亡くなり、旦那さんが元々足が悪く、さらに認知症となったため娘夫婦が引き取ったものの、まったくなつかず、咬むことすらある。

もともと「犬が好き」というわけでもなければ愛情がわかないので、どんどん嫌悪感だけ増していきます。

その結果、リンダは飼育放棄されました。

リンダのように「親の犬だがなつかない」として飼育放棄される犬は他にもいますが、犬のプロであるドッグトレーナーの指導のもと、適切な接し方をすれば、どの子も問題行動を起こす犬ではありません

愛情をもって正しい接し方をすれば、とてもかわいい姿を見せてくれます

子どもがいるから安心、ではなく…

特に高齢者と暮らしている犬は、高齢者が甘やかして育てていることが多く、同じようにしてくれないと吠えたり噛んだりする、ということがあります。人間の食べ物を与えることで、犬用のフードを食べないということもあります。

そうならないように、誰と暮らしてもいいような接し方をしておくことが望ましいです(なかなか難しいと思いますが…)し、もちろん、普段から子どもたちと接しておくのは言うまでもありません。

そうしないと結果的に、吠える、咬みつく、と言ったようなクセのある子は保護を断られてしまうのです。

さらにそこに「高齢」や「持病」という要素がありでもしたら、なかなか保護は難しいです。

また、犬の立場からしても、ほとんど面識もなく、犬に対しての知識も愛情もない子ども夫婦のところに連れて行かれても、落ち着いて暮らすということはなかなかできないでしょう。

犬はモノではなく生命(いのち)ある存在です。

託すのであれば、それ相応の準備をしておくことが必要なのです。

DOG DUCAではそのような子たちに社会化トレーニングをした上で、飼育経験も豊富で愛情深い里親さんに譲渡しています。

中には、リンダのように、DOG DUCAの“シニアドッグ・サポーター制度”を使って、咬みつきグセのある犬の飼育経験豊富な高齢者に譲渡したこともあります。

大切な愛犬、大切な“家族”を託すのです。

「なんとかしてくれるだろう」ではなく、誰に託すかを決めて普段から慣れさせておくなど、キチンとした準備をしておくことが必要です。