日本の法律では、動物は「物」です。
ですから、飼い主が亡くなった場合、子どもがいれば子どもに、いなければ親族に犬の所有権が移ることになります。
しかし、法律上は「物」であっても、実際は生命(いのち)ある生き物です。あってはなりませんが、いらないからと言って捨てるワケにもいきませんし、もし捨てるとなれば、道義的な面でも問題ですが、動物愛護法違反として処罰*の対象にもなります。
*1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
かつては、保健所なり動物愛護センターなどに連れて行けば引き取ってもらえました(そして殺処分なりボランティアによる保護なりの道をたどりました)。
しかし最近は、動物愛護法により飼い主による終生飼養が「義務化」されたため、愛護センターも引き取りを拒否することができるようになり、結局、面倒をみる予定がなかった親族が仕方なく犬や猫を引き取る、というような状況がそこかしこで発生しています。
普段から接していてなついているとか、一緒に過ごしている内に愛情が芽生えるとかであればよいのですが、ほとんど接していなかった親族と暮らすということは、美談ばかりではありません。
親族が犬嫌いで閉じ込めるしかない
70代の単身女性と暮らしていたトイ・プードルの幸(こう)と、マルチーズのソルテ。推定10歳です。
飼い主が長期入院となり彼らの面倒が見られなくなったため、親族が面倒を見ることになりました。
しかし、その親族が犬嫌いで、散歩やトリミングに連れ出すどころか、触ることも出来ません。
その結果、サークルに2頭をずっと閉じ込めたまま、フードだけ与えるという生活を続けていました。
どちらも不衛生な環境で毛も伸び放題、トイプードルの幸は、のどに毛がつまって肺機能が低下していたようで、保護したその日に虹の橋を渡りました…。

残されたソルテも、毛も爪も伸び放題、体はガリガリで目ヤニもひどくこびりついて目が見えないような状態で、保護後のトリミングできれいにするのに6時間ほどかかりました。

ソルテはもともと心臓疾患があったようですが、病院にも連れて行かれないことで悪化していました。また、1頭が亡くなるほど劣悪な環境だったので、同じく気管支もやられてよく咳をしておりました。
DOG DUCAで穏やかに過ごさせようと思っておりましたが、そういう子の里親になって幸せにしてあげたい、という里親さんに譲渡し、空気のよい環境で過ごすことになり、咳も出なくなりました。
しかし、ムリな生活をしていた体には、腺癌ができ、1年もたず、虹の橋を渡りました。
最期には里親さんの元で愛情を目いっぱい注がれながら見送られました。

最初から、愛情をもって面倒をみてもらえない人にではなく、愛情を持って面倒を見てくれる人に渡っていればと思わずにはいられません。
親族が面倒を見てくれていたが…
こちらのミニデュアダックスのウィズは、保護時、推定12~13歳でした。

飼い主の方が病気になり、その家に取り残されたウィズ。
飼い主に子どもはおらず、稲沢市で暮らす親族が面倒を見ることになりましたが、自宅では見ることができず、ウィズが飼い主と暮らしていた守山区まで、車で片道1時間かかる距離を、ゴハンの世話をするためだけに通う生活に。
その方も引き取り先を探しましたが、高齢犬ということで引き取り手は見つからず、稲沢から通う生活が2ヶ月。
1月に飼い主が病院で亡くなり、電気も切れた暗く、寒い部屋で取り残されることになるウィズがかわいそう、ということで、近隣のDOG DUCAに保護の依頼がありました。
ソルテたちとは異なり、親族の方が面倒を見てくれておりましたので、お尻に腫瘍はありましたが、大きな疾患ではなく、その年の内に、シニアドッグ・サポーターのお宅に行くことができました。

親族には自分の生活もある
犬に限らず動物は法律上「物」ですが、実際は生命(いのち)ある存在です。
引き取れば誰でもつつがなく面倒をみることができる、というものでもありません。
とくに親族である場合、子どもと違って、基本的に犬を引き取る予定など頭に入っていないケースも少なくありません。
そのようなケースでも、動物愛護センターを頼れば引き取りを断られることもあり、むしろ、「親族であるなら面倒見てほしい」「できないなら里親を探してほしい」と言われてしまうのが現状です。
ウィズのように面倒を見てくれる親族ならよいのですが、すべての人が犬を好きとは限らず、ソルテたちのように、しかたなくゴハンだけあげる、というような親族がいてもおかしくはありません。
とくに、高齢者と暮らしていた犬はおしなべて高齢犬になっていることが多く、里親を探そうにも、引き取り手が現れることはまずりません。
そうなってしまうと、大切な愛犬が劣悪な環境で暮らし続けるようになることもあるのです。
身寄りが少ないならなおさら、自分に万が一のことがあった場合、引き取ってもらえるような手はずをキチンと立てておく必要があるのです。
